文具好き開発プロデューサーが語る
「ドラゴンクエスト文具屋」開発裏話(後編)

制作秘話

デザインフィル コマーシャルデザイン事業部は、株式会社スクウェア・エニックスの国民的人気ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの文具ブランド「ドラゴンクエスト文具屋」を共同開発しました。

今回は、「ドラゴンクエスト文具屋」開発に携わったドラゴンクエストシリーズ プロデューサー・マーチャンダイジング担当の青海亮太さんと、デザインフィル営業の小林の対談を前後編でお送りいたします。
後編では、一問一答でさらに詳しく青海さんのものづくりへのこだわりについて伺います。
※前編はこちらからお読みいただけます。

文房具ユーザーに気に入ってもらえたことが嬉しい

ドラゴンクエストシリーズ プロデューサー・マーチャンダイジング担当の青海亮太さん

―――今回「ドラゴンクエスト文具屋」を作ってみていかがでしたか?

青海さん(以下、青海)  文具好きの方々にも評価いただけたのが嬉しいです。ドラゴンクエストユーザーはもちろんそうなんですが、文房具としてもしっかり支持いただけたのかなと。文具女子博にも出展しましたが、ものすごく評判が良くて!みなさまが笑顔で手にしている姿を横でこっそりみて、私も笑顔になりました(笑)。本当に文房具好きの方に気に入っていただけたのが良かったです。

あと、私たちのものづくりは、ハードルが高い部分が多々あるのですが、デザインフィルさんが全てのボールを打ち返してくださったところに驚きました。ダイアリー全ページや、金型を作るとなるとコストかかるのですが、そういったアイデアにもデザインフィルさんは、最初から断るのではなく、一緒に真剣に向きあってくれたことが、本当にすごいなと。本気のものづくりができました!

―――今回「ドラゴンクエスト文具屋」を作ってみていかがでしたか?

青海さん(以下、青海)  文具好きの方々にも評価いただけたのが嬉しいです。ドラゴンクエストユーザーはもちろんそうなんですが、文房具としてもしっかり支持いただけたのかなと。文具女子博にも出展しましたが、ものすごく評判が良くて!みなさまが笑顔で手にしている姿を横でこっそりみて、私も笑顔になりました(笑)。本当に文房具好きの方に気に入っていただけたのが良かったです。

あと、私たちのものづくりは、ハードルが高い部分が多々あるのですが、デザインフィルさんが全てのボールを打ち返してくださったところに驚きました。ダイアリー全ページや、金型を作るとなるとコストかかるのですが、そういったアイデアにもデザインフィルさんは、最初から断るのではなく、一緒に真剣に向きあってくれたことが、本当にすごいなと。本気のものづくりができました!

小林 ありがとうございます!デザイナー、プロダクトメンバーはもちろん営業担当も、ものづくりへの思いは強いと思います。ここを工夫したらどうか、設計をこうしたいなど、意見を出し合いながら、常に開発を進めています。自社工場や協力工場の方々も同じ思いで作っていますね。

青海 さまざまな会社さんと、ドラゴンクエストのアイテムを作るときに、成功するパターンと、あまりうまくいかないパターンがあるんですが、成功するパターンは、担当者・作り手にドラクエ好きな方がいるかどうかです(笑)まさにデザインフィルさんは、「ドラクエ愛」がある方ばかりでした。

小林 ありがとうございます!デザイナー、プロダクトメンバーはもちろん営業担当も、ものづくりへの思いは強いと思います。ここを工夫したらどうか、設計をこうしたいなど、意見を出し合いながら、常に開発を進めています。自社工場や協力工場の方々も同じ思いで作っていますね。

青海 さまざまな会社さんと、ドラゴンクエストのアイテムを作るときに、成功するパターンと、あまりうまくいかないパターンがあるんですが、成功するパターンは、担当者・作り手にドラクエ好きな方がいるかどうかです(笑)まさにデザインフィルさんは、「ドラクエ愛」がある方ばかりでした。

―――文房具を作るにあたって、ゲーム業界との違いは感じましたか?

青海  実物を手に取ってもらって楽しんでいただくアナログな世界なので、直観的にものごとが判断されるなと感じています。ゲームはデジタルの体験なので、実際にプレイしてみないと「面白かった、これが好き」とはならないですが、文房具は手に取った瞬間に「良い!かわいい!」など数秒で欲しい欲しくないが判断されるじゃないですか。そこが全く違います。第一印象やパッケージなど、売場を通った瞬間に目に留まるかどうかもすごく重要だなと。

―――文房具を作るにあたって、ゲーム業界との違いは感じましたか?

青海  実物を手に取ってもらって楽しんでいただくアナログな世界なので、直観的にものごとが判断されるなと感じています。ゲームはデジタルの体験なので、実際にプレイしてみないと「面白かった、これが好き」とはならないですが、文房具は手に取った瞬間に「良い!かわいい!」など数秒で欲しい欲しくないが判断されるじゃないですか。そこが全く違います。第一印象やパッケージなど、売場を通った瞬間に目に留まるかどうかもすごく重要だなと。

フィールド柄の台紙がぱっと目を引く『浸透印スタンプ』。柄によって、台紙にいるスライムの数が違っていたり…?

いかにユーザー目線でのものづくりができるか

―――青海さんがものづくりをしていて、一番楽しい瞬間はいつですか?

青海  一番最初の試作サンプルが上がってきたときですね。でもなにより一番嬉しいのは、店頭でお客さんが手に取っている姿を見たり、SNSで「発売日に早速買いに行きました!」などユーザーの声を聞けたときですね。アプリやサービスと違って、お客さまが直接買って使っている姿を見られるというのは、より喜びが実感できます。

―――青海さんがものづくりをしていて、一番楽しい瞬間はいつですか?

青海  一番最初の試作サンプルが上がってきたときですね。でもなにより一番嬉しいのは、店頭でお客さんが手に取っている姿を見たり、SNSで「発売日に早速買いに行きました!」などユーザーの声を聞けたときですね。アプリやサービスと違って、お客さまが直接買って使っている姿を見られるというのは、より喜びが実感できます。

―――文具に限らず、アイテムを作るときのこだわりはありますか?

青海  やはりどれだけユーザー目線でものづくりできるかです。ドラゴンクエストの生みの親である、堀井雄二さんもユーザー目線を徹底されていて、そこが堀井さんの一番すごいところだと私は思っています。作り手が「ドラクエユーザーの代表」だし、「文房具好きユーザー代表」という気持ちで、その視点に立てるかどうか。ユーザー目線でありながら、作り手として、常にユーザーの期待を超えることを意識しています。それが、仕事を最大化させる(100%以上の仕事にする)大事なポイントだと考えています。

―――文具に限らず、アイテムを作るときのこだわりはありますか?

青海  やはりどれだけユーザー目線でものづくりできるかです。ドラゴンクエストの生みの親である、堀井雄二さんもユーザー目線を徹底されていて、そこが堀井さんの一番すごいところだと私は思っています。作り手が「ドラクエユーザーの代表」だし、「文房具好きユーザー代表」という気持ちで、その視点に立てるかどうか。ユーザー目線でありながら、作り手として、常にユーザーの期待を超えることを意識しています。それが、仕事を最大化させる(100%以上の仕事にする)大事なポイントだと考えています。

モンスターの質感に合わせて、見た目も触り心地も異なる『デコレーションシール』。細かい加工がファンの心を掴みます。

青海 ドラゴンクエストのアイテムは、キャラクターを乗せただけのデザインは基本NGにしています。これは、ゲームIP(Intellectual Propertyの略語。知的財産)はユーザー体験含めてのものだと考えているからです。なので、どのアイテムもドラクエのゲーム体験・ユーザー体験を盛り込み、ゲーム感覚で楽しめるものにしています

たとえばダイアリーは、決まった型にただキャラクターを印刷するのではなく、コンセプトから企画しています。『冒険ダイアリー』という製品名で、週・月のタスクを冒険クエストにみたてたり、年齢早見表もレベル早見表としたり、ドラクエ記念日も入れていたり…。あえてあまり言ってないのですが、12枚のちいさなメダルも隠れています。手帳を使っていくと1年後には、自分だけの「冒険の書」(ドラゴンクエストのゲーム内で、冒険の記録を書き残した書物のこと)が完成する狙いです。

青海 ドラゴンクエストのアイテムは、キャラクターを乗せただけのデザインは基本NGにしています。これは、ゲームIP(Intellectual Propertyの略語。知的財産)はユーザー体験含めてのものだと考えているからです。なので、どのアイテムもドラクエのゲーム体験・ユーザー体験を盛り込み、ゲーム感覚で楽しめるものにしています

たとえばダイアリーは、決まった型にただキャラクターを印刷するのではなく、コンセプトから企画しています。『冒険ダイアリー』という製品名で、週・月のタスクを冒険クエストにみたてたり、年齢早見表もレベル早見表としたり、ドラクエ記念日も入れていたり…。あえてあまり言ってないのですが、12枚のちいさなメダルも隠れています。手帳を使っていくと1年後には、自分だけの「冒険の書」(ドラゴンクエストのゲーム内で、冒険の記録を書き残した書物のこと)が完成する狙いです。

『冒険ダイアリー』の中紙には細かなこだわりがいっぱい!よく見ると、ちいさなメダルが…?

―――ドラゴンクエストのグッズを作るにあたり、公式グッズとして意識しているところはありますか?

青海 ドラクエらしさを壊す、変な悪ノリはしないというところが重要だと思っています。ドラクエはたくさん素材やモチーフがあるので、やろうと思えばいろいろとネタは作れるんです。でもやりすぎてしまうと、ただのパロディになってしまうので、ユーザーからみたドラゴンクエストらしさを逸脱しすぎないことを死守しています。正直、悪ノリやパロディに走った方が楽なんです。でもユーザーが喜ぶかというと、それは違う。どこまで攻めたネタにするか、その線引きに毎回苦労しています。

―――ドラゴンクエストのグッズを作るにあたり、公式グッズとして意識しているところはありますか?

青海 ドラクエらしさを壊す、変な悪ノリはしないというところが重要だと思っています。ドラクエはたくさん素材やモチーフがあるので、やろうと思えばいろいろとネタは作れるんです。でもやりすぎてしまうと、ただのパロディになってしまうので、ユーザーからみたドラゴンクエストらしさを逸脱しすぎないことを死守しています。正直、悪ノリやパロディに走った方が楽なんです。でもユーザーが喜ぶかというと、それは違う。どこまで攻めたネタにするか、その線引きに毎回苦労しています。

人に見せたくなる、伝えたくなるグッズ

―――青海さんにとって「いいグッズ」とはどんなグッズだと思いますか?

青海  お客さまが人に伝えたいなと思うものはいいグッズだと思います。SNSで「今日買ったんだよ」とか、学校で「みてみて〜!」みたいな、人に見せたくなる、伝えたくなるっていうのは、ものづくりにおいてすごく重要だと思います。自分の所有欲だけじゃなくて、それを人に褒めてもらいたいという承認欲求が生まれている。物の所有欲とは別に、物の承認欲求というのも大事だなと思っているんです。いいねと認めてもらって、そこから見た人も欲しくなっていって…という風に輪が広がっていくので。

―――青海さんにとって「いいグッズ」とはどんなグッズだと思いますか?

青海  お客さまが人に伝えたいなと思うものはいいグッズだと思います。SNSで「今日買ったんだよ」とか、学校で「みてみて〜!」みたいな、人に見せたくなる、伝えたくなるっていうのは、ものづくりにおいてすごく重要だと思います。自分の所有欲だけじゃなくて、それを人に褒めてもらいたいという承認欲求が生まれている。物の所有欲とは別に、物の承認欲求というのも大事だなと思っているんです。いいねと認めてもらって、そこから見た人も欲しくなっていって…という風に輪が広がっていくので。

スライムやロトの紋章などを簡単に描くことができる、テンプレート付『クリップ定規』。思わず人に自慢したくなるくらい、上手に描けます。

青海 あと私は、企画の最初に「せっかくだから夢は大きく、Yahoo!トップ(ニューストピックス)に載るくらいのものをやりましょう!目指せトップ掲載!」って必ず言うんです。開発の過程で現実的なところに落とし込んでいって、結果丸くなっていくのですが、最初から現実的なことだけを考えてしまうと、できることしかやらなくなってしまい、つまらなくなってしまう。Yahoo!トップに載るという気持ちで考えていくと、結果振り切り度が高くておもしろいものが生まれる。

あとはYahoo!トップの見出し文字数って15.5文字なんですが、その文字数だけで面白そうと思えるネタか?伝わる商品力があるか?ということは、いつも考えています。今回だと、「毎日が冒険になる文房具」とか、「バトエン世代に大人の文具」とか。言い続けてやってきた結果、これまで掲載して頂けたことが何度もありました。

青海 あと私は、企画の最初に「せっかくだから夢は大きく、Yahoo!トップ(ニューストピックス)に載るくらいのものをやりましょう!目指せトップ掲載!」って必ず言うんです。開発の過程で現実的なところに落とし込んでいって、結果丸くなっていくのですが、最初から現実的なことだけを考えてしまうと、できることしかやらなくなってしまい、つまらなくなってしまう。Yahoo!トップに載るという気持ちで考えていくと、結果振り切り度が高くておもしろいものが生まれる。

あとはYahoo!トップの見出し文字数って15.5文字なんですが、その文字数だけで面白そうと思えるネタか?伝わる商品力があるか?ということは、いつも考えています。今回だと、「毎日が冒険になる文房具」とか、「バトエン世代に大人の文具」とか。言い続けてやってきた結果、これまで掲載して頂けたことが何度もありました。

「ドラゴンクエスト文具屋」を開発してみて

―――最後に、今回デザインフィルと「ドラゴンクエスト文具屋」を共同開発してみての感想をお願いします。

青海 今までさまざまな企業さまとものづくりをしてきましたが、デザインフィルさんはすごくお仕事がしやすかったです。最終的にこうしたいというゴールに対して、一緒にアイデアを出しながら、同じ思い、熱量でものづくりができたなと。あとは出てくるデザインが本当に素晴らしくて、プロだなと思いました。デザイナーさんが社内にいること、またその方がすごく優秀な方ってなかなかないことだと思うので。一般的に、デザインだけデザイン会社さんに外注するケースが多いので、製品企画からデザイン、制作まで一貫してできることがデザインフィルさんの大きな武器だと思います!

小林 嬉しいです!ありがとうございます!これからもよろしくお願いいたします。

―――最後に、今回デザインフィルと「ドラゴンクエスト文具屋」を共同開発してみての感想をお願いします。

青海 今までさまざまな企業さまとものづくりをしてきましたが、デザインフィルさんはすごくお仕事がしやすかったです。最終的にこうしたいというゴールに対して、一緒にアイデアを出しながら、同じ思い、熱量でものづくりができたなと。あとは出てくるデザインが本当に素晴らしくて、プロだなと思いました。デザイナーさんが社内にいること、またその方がすごく優秀な方ってなかなかないことだと思うので。一般的に、デザインだけデザイン会社さんに外注するケースが多いので、製品企画からデザイン、制作まで一貫してできることがデザインフィルさんの大きな武器だと思います!

小林 嬉しいです!ありがとうございます!これからもよろしくお願いいたします。

―――青海さん、ありがとうございました!

―――青海さん、ありがとうございました!

青海 亮太
株式会社スクウェア・エニックス マーチャンダイジング担当
「ドラゴンクエスト」シリーズのプロデューサーを務め、「ドラゴンクエスト」シリーズの公式グッズ・二次展開商品・コラボ商品の開発プロデュースに関わる。
2020年東京オリンピック公式マスコットキャラクター審査員。

青海 亮太
株式会社スクウェア・エニックス マーチャンダイジング担当
「ドラゴンクエスト」シリーズのプロデューサーを務め、「ドラゴンクエスト」シリーズの公式グッズ・二次展開商品・コラボ商品の開発プロデュースに関わる。
2020年東京オリンピック公式マスコットキャラクター審査員。

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